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なぜ自主憲法の制定を提唱するのか

2017.04.27
1 現憲法に対するわが党の認識
 日本国憲法は、占領下という日本の主権および国民の自由な意思が制限された状態で、連合国軍総司令部(GHQ)と極東委員会という外部勢力の関与と圧力のもとで作成されたという出自を持っている。このことは、昨年もバイデン米国前副大統領が「日本国憲法を、私たちが書いた」と発言したように、国際社会では常識となっている。とはいえ昭和22年5月3日の施行以来、日本国憲法がわが国の根本法規として機能してきたこともまた事実である。
 この間、日本国憲法はただの一度も改正されていないが、わが国の立場ならびに国際社会の状況は大きく変貌した。憲法成立時には被占領下にあったわが国は、その後、驚異的な経済的発展を果たし、現在では先進国首脳会議の一員として国際社会の中で確たる地位を占めるまでになった。まさに隔世の感がある。
 一方でわが国を取り巻く国際情勢は、北朝鮮による核ミサイル開発、軍備を著しく増強させた中国による南シナ海・東シナ海・太平洋での海上覇権を獲得しようとする露骨な動き等によって、悪化の一途をたどっている。また中東地域からヨーロッパ、ついで東南アジアにまで広がったイスラム過激派によるテロ活動の横行など、国際社会そのものが不安定化しており、わが国にも秩序ある平和維持への貢献が期待されるようになっている。
 さらには、IT革命がもたらした産業構造から個人のライフスタイルや国際経済のあり方にいたるまでの劇的な変化、また地球規模で解決を迫られる環境保全問題など国際社会全体が新しい課題に直面している。
 世界各国は、現実との乖離や不適合の是正を図るため、たとえばアメリカは18回、ドイツは60回、フランスは24回と、頻繁に憲法を改正してきた。一度の憲法改正も行わなかった日本国憲法には、現状にそぐわない点が多々生じてきている。

2 現在の政治状況に対するわが党の立場
 わが国で憲法改正を行えなかった主因は、厳しい憲法改正条項が設けられていることにある。憲法改正のためには、①各議院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、さらに②国民投票で過半数の賛成を得なければならない。しかし衆参両院で憲法改正を支持する政党が3分の2を確保することは容易ではない。このことが日本国憲法の改正を阻んできたのである。
 そもそも憲法改正の前提となる国民投票制度の立法化ですら国会において長らく放置され続け、施行されたのは平成22年5月のことであった。国民の負託を得て国権の最高機関たる国会に所属する一員として、怠慢の誹りは甘んじて受けなければならない。
 とはいえ、平成26年12月の衆議院総選挙、平成28年7月の参議院通常選挙の結果、衆参両院で憲法改正を支持する諸政党が3分の2以上を占めるにいたった。ようやく本格的に憲法改正が検討される政治環境が整ったのである。
 憲法改正の実現可能な政治環境を形成した国民の意思に応え、憲法改正を実現することは、国民の負託を受けた国会議員の義務である。わが党は、日本国憲法を全面的に見直す「自主憲法草案」を世に問い、改憲論議に一石を投ずる決意をするにいたった。

3 なぜ「自主憲法」案として発表するのか
 わが党は、基本政策として「長い歴史と伝統を持つ日本の国柄と日本人のこころを大切にした、日本人の手による自主憲法の制定」を提唱してきた。わが党が「憲法改正」ではなく「自主憲法」として憲法草案全体を提案することとしたのは、わが国憲法のあるべき姿について、以下に述べる基本認識をもつがゆえである。
 第一は、わが国の「自主努力」によって育まれてきた立憲主義の伝統を継承すべきだからである。
 わが国は、明治初期の国憲按作成をはじめとする先人たちの「自主努力」を通して、帝国憲法の制定を実現し、また議会を設置してアジアで最初の立憲君主国家を誕生させ国民の権利を保障するにいたった。わが国の立憲主義は他から与えられたものではなく、自らの手で育んできたのである。日本の憲法はこの長い歴史と伝統を持つ日本の国柄と日本人のこころを大切にし、その上にたって国民の権利および自由を保障するものでなければならない。
 第二は、現行憲法をそのままでよいとするのは「自主独立」の精神の否定だからである。
 わが国には、日本側の意思も部分的に織り込まれたことをもって「押し付け」性を否定する主張もある。しかし当時貴族院議員として審議に参加した東京帝大総長の南原繁氏の「日本政府が、最後まで自主自律的に自らの責任をもって、これを決行することができなかったということをきわめて遺憾に感じ、国民の不幸、国民の恥辱とさえ私どもは感じているのであります」との発言、また同じく貴族院議員であった宮澤俊義東京帝大教授の「憲法全体が自発的にできているものではない。多少とも自主性をもってやったという自己欺瞞にすぎない」との述懐が、現行憲法の本質を余すことなく示している。
 こうした「国民の恥辱」、「自己欺瞞」を放置したままでいることは、とうてい許されない。明治憲法を作成するに当たり、憲法制度の調査のため渡欧していた伊藤博文に対して、ウィーン大学のシュタイン教授は、そもそも憲法とは民族精神の発露であって、自国の歴史や慣習に根差したものでなければならないと説いたという。日本人自身の手で日本国の国柄を明確に反映した憲法となるべく作り直し、正統性を与えることが、「自主独立」の国民精神の発揚の上からも重要である。
 第三に、未来の日本の運命は国民の自覚と責任によって切り拓かれるべきであり、そのためには国家運営の基本ルールたる憲法への国民の「自主参加」が不可欠だからである。
 21世紀の国際社会は、先述したようにさまざまな課題に直面している。わが国には、世界の主要国として国際平和の維持に貢献し、環境問題など新しい課題を国際社会が乗り越えていく上での主導的役割を担う局面も予想される。わが国の責任は重大である。わが国が国際社会における責任を果たしていくためには、国民一人一人にとって、日本という国家が他人任せではなく、その運命の一翼を担う責任の自覚が必要となることはいうまでもない。
 そのためにも国家運営の基本ルールづくりに国民が参加すること、すなわち国民投票を通じて、日本国憲法全般について国民がその是非を自ら判断し意思表明することが欠かせない。

4 「自主憲法草案」の意義
 わが党は「たちあがれ日本」当時から合算すれば実に七年にわたって研究を重ね、昨年6月17日には「日本国憲法草案(第一次案)」の「要綱」を発表した。今般、さらに前記のような基本認識にたって研究を重ね、「自主憲法草案」を完成させるにいたった。
 この「自主憲法草案」では、日本国民としてのアイデンティティーを確認するとともに、日本の国家運営の指針を明らかにし、さらには国際社会との共生・連帯を目指す国民の決意を明確にしている。
 わが党が党綱領に掲げた「過去、現在、未来の時間軸のなかで、常に次の世代を守り育てる」、「長い歴史の中で育んできた風俗、習慣、文化に息づく日本のこころを大切にして、家族を基底においた明るく温かな社会の実現」、「経済力、外交力、国防力を高め、文化の力によって世界の平和に貢献し、世界から信頼される国を創る」、「真日本の独立と繁栄を守り、国民の手による自主憲法を制定し、豊かで誇りある日本を築いていく」といった目標が、具体的な憲法条文として結実しているものと確信している。
 この「自主憲法草案」が示した新たな国家像が、国会における憲法論議を通して、現世代のみならず将来の世代にもわたって、日本国および日本国民の行動を照らすべき指針として合意されることを期待してやまない。
 またあわせて、基本ルールづくりに国民が参加すること、すなわち国民投票を通じて、日本国憲法全般について国民がその是非を自ら判断し意思表明することを可能とするために、国民投票を「内容において関連する事項ごとに区分して行なう」とする現在の国会法の改正も提唱するものである。

5 党としての決意
 憲法改正問題は、抽象的に改憲の是非を論じる時代から、国民に対してどのような憲法を提案するかを具体的に論じる時代となった。
 わが党は、国政および国民に責任をもつ政党として、一刻も早く、憲法改正国民投票法にのっとり、日本国民の意思が表明できる機会をつくるよう行動していくことを、ここに改めて表明する。
 更に、現在の憲法改正手続においては、国会法第68条の3に「憲法改正原案の発議に当たっては、内容において関連する事項ごとに区分して行う」と規定されており、国会の中には、憲法原案について審議する場がなく、憲法全体の改正が不可能となっていることから、まず第一歩として、国会法の改正を目指さなければならない状況である。

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